12.風流空手 留意事項 (基本)

2010/06/09 公開


☆ 構え

  1. 相手に、当方の動きを覚られ無い様な感覚で、極く自然に備えを変える。
  2. 大袈裟に、これが空手の始まりだと言う構え方はしない。

☆ 号令

  1. 号令は、相手の気配を意味する。
  2. 挙動回数を意味する音声とは考えず、蛮声は不要。
    きちんと、全体の気と間を読んで、気合を籠めた発声をする。
  3. 勿論、号令を掛けられる方も、相手の気配を読み反応しなければ、意味が無い。
    初心者程、気の籠もらない数読みの蛮声に専念する傾向があるので、指導者はこれに注意したい。
  4. この数読み感覚が、挙動・所作形骸化の一因ともなり、延いては正しい伝承を妨げる要因にも繋がる。

☆ 手首

  1. 手首は、掌内屈しない。
  2. これは、甲背屈する筋腱が伸展した状態で、前腕が強張り肘の備えが無くなると言う、重大な欠陥を齎す事になる。
  3. これで、腕全体の自由度が阻害され、拳は伸びを欠く寸止まりとなり、肘を軸に腕全体の動きが制限され死んだ状態となる。これは又、より強い外力による掌内屈に弱く、伸張し切った腱を損傷され易いので、避けるべき状態と考えられる。
  4. 又、肘の用法に、無知なのかとも判断され兼ねない。

☆ 前足脛

  1. 前足脛は、前傾しない。
  2. 脛が前傾した状態は、軸足として後足の働きをさせられていると考えられる。
  3. 人間の様に、二足歩行をしている生物は、足を前・後と交互に移動させて用いる。
    両足共、後足の働きの場合は跳ぶ事になり、歩行とは判断されない。
  4. 空手での典型的な例は、突に体を持って行かれた時に示す状態で、後足は浮き気味となり不安定な上、動きの自由度が大きく制限される。
  5. 何の障害物も無い所での、徒競走ならば理解出来るが、格技に於ける方向性の制約は、致命的な欠陥とも考えられる。
  6. 眼前に、危険な相手が待構えて居る所で、死に体に近い膝・顔が前面に曝された状態を、格技では歓迎されない危険な状態と考え、避けたい。
  7. この様な体勢は、突に全体重を乗せなければならないと言う、一撃必殺の願望から来る誤謬かも知れない。
  8. 若しかしたら、膝の用法に無知なのか? とも言はざるを得無い。
  9. 識別法として、移動時の足音の有無も一つの目安になる。
  10. 余計な事ではあるが、歩行と走行の違いは、変位が連続か不連続かの違いに至ると考えられる。
    この違いは、格技に於ける間の見切り等、動きの本質的な違いに及ぶ事になる。
  11. 自分の様な、古い東洋感覚の化石人は、事物の不連続化を好まない傾向もある。
     

☆ 基本の立方

  1. 常に、独特の内輪立ち。
  2. 膝の備えから来る、空手独特の立方で、爪先丈を内輪にする意味では無く、如何に膝を遣うかの意識が大切。
  3. これで、何れか一方の足を引けば、自由組手の立方に通じる。
     

☆ 基本の突

  1. 突は、速いに越した事は無いが、それ以前に極のある突が求められるのは当然。
  2. 極のある突とは、遠くから加速し勢いを付て突抜けて行く速さの突では無く、相手に接触した時点から有効な事である。
  3. 又、その場でも、移動した時でも、突・蹴後の腰に歪を残さ無い事が肝要。
    その為には、後足の位置が若干変化するのが自然かも知れない。
  4. 型の上で言うと、順突々込み・順突・逆突・逆突々込みと、前足を軸にした後足が丁度円弧を描く様に開いて行く形が一般的。
  5. 何れの場合も、当然膝の備えに気を付け、後足の絞りも疎かにしない。
    実際には、何時も同じ立方に慣れて置くと、これが束に通じる。
  6. 又、移動しての基本の流れは、素突・順突・順突々込み・跳込突と、組手に向けての形態を取る。
     

☆ 基本と形

  1. 基本は、突蹴が基になり、それに体の回転・併進が同時に行はれ、これを有効に組合せたものが形と言う事になる。
  2. 然し、格技としての重要度は、併進・回転・手技の順と考えると良い。
  3. 移動しながら、突き・蹴り・受け・払い等々、様々な操作を施すのが形で、組手が前提である以上、より重要な事は、軸を崩さない体の回転。
  4. そして、最も重要な事は、自然な感覚での変位と考えられる。
  5. そして、最も重要な事は、自然な感覚での変位と考えられる。
    身体が制御するべき突・蹴に、身体を持って行かれる状態を間々見受けられるが、これは転技に重点を置き過ぎた結果で、是非共避けるべきと考える。
  6. 転位転体転技を、三位一体でとは言うが、転位があり、それに転体が加わり、これ等を基に転技が成立つ事と承知したい。

☆ 足音

  1. 足音は立てない、と言うより立たない。
  2. 床を、仇敵の如く踏付け・踏鳴らすのは論外として、足音の出る理由の最大の欠陥は、その寸前から前足が死んで仕舞う事で、制御されるべき上体の自由度が、それに因り大きく制限され、死に体と為り兼無い事である。
  3. これが、流れる様な伸びのある多様な動きに繋がるか否かの、岐点にもなる。
     


☆☆ 以降に就いては、別の機会に詳述したい。

 ☆ 間の見切り
  心・時・空を含む間を、読み・見切る事は容易では無い。

 ☆ 束の動き
  常に、技に応じた立方に為るのは、難しい。

 ☆ 目付け
  相手を、景色の一部と観る意識で、凝視しない。

 ☆ 三位一体
  三位一体とは言うが、転位が第一。転体が、それに次ぐ。転技は、総て揃った上で有効。
  格技は、その転技の部分に特徴があり、それに因り名称が付けられている為、初心者や部外者はこの転技の部分、即ち突蹴や非日常的な特異な動作にのみ、重点を置いて仕舞うのは、致し方の無い仕儀かも知れない。

  転位/空手のみならず、総ての格技の土台になっている。

  転体/間の見切りが、若干遅れた場合に有効。

  転技/完全に遅れた、緊急な対応と考える。

 ☆ 形/遣う形
  形の総ての挙動・所作は、有効に遣える様にする。

 ☆ 基本組手/先後
  基本組手に限らず、一瞬の遅速はその後の形態を全く異なる形態にする。
  極端な表現をすると、手順前後に型は意味が無い。
  此処に、型では無く形の意味がある。

 ☆ 全空連指定形
  和道会から提供した形であっても、全空連の指定型は和道会の形では無いと理解するべきである。
  他家を継いだ子は、吾子と考えては不可。
  全空連で、当初指定型と称していた事は間違いでは無い。
 


 

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