8.風流空手 基本組手稽古 要領

2009/05/10 公開


打込み稽古に続いて、基本組手の要領を考えます。柔術から発した風流空手では、捕身の攻めが、従来から観念的に定着している一撃必殺のみを求める感覚では、難しい処があります。この所謂矛盾を含む剛体同志の破壊空手のみの追及から、捕身に入ると如何しても、受身を突壊さなければならないと言う意識のみに全身が支配される傾向が強く、多くは転位が不充分で突きが先走った状態となり、体勢が崩れるか寸止りとなり、対象に届かない事が多い様です。打込み稽古での感覚を忘れずに、先ず転位に余裕を持ち極迄往きますが、これも中々難しいでしょう。然し、難しいから稽古をする訳です。基本組手の秘めている内容は表現し切れない程多岐に亘りますが、先ずは相手の居る稽古で、「心・時・空」総てを含む「間」の読みに、神経を研澄しましょう。

  1. 先ず大きな目的として、間の読みと互いの意識の交換。

    互いに相手の意を読み取るには、先ず互いに意識を読み取らせる稽古から始める。意を読み取らせるとは神掛り的な表現ですが、実は相手の微細な動きを読み取る事になるのです。この為にも基本の時から、起りの動きは見せない、自然な動きの稽古が必要で、転位の起りの読みが重要な処です。
     
  2. 受身の正確な攻めに捕身も正確に応じる、この部分が外見的な表現として、一般的に見え易いのできちんとしましょう。当然ではあるが、互に如何なる変化にも対応できる意識は必須。当然極めには、気合と力は必要ではあるが、意味の無い蛮声と全身の強張った力は、負の意味を持つ事になるので要注意。特に転位の無きに等しいような突きは、初心者には不意打ちの如何にも有効な感覚を持たせるが、寸詰り又は寸止りな攻めになり、伸のある有効な攻めの稽古にはならず、上級者に対し常に届かない攻めとなる。但し、競技空手に於いては寸止りが解らない判定者も多々居るので、これに引戻しを加えると見易い分だけ有利な点もある。
     
  3. 寸止が大前提の基本練習であるが、約束した受身の攻めは当然如何なる場合も正確に目標位置を攻める。これに対して捕身は、後を捕る意識ではなく、先や先々の先も視野に置き、それに応じて技の変化が出来る事も必要で、自在な捌きを意識し、又実行する事も必要。此れにより受身が正確に攻めているかの判断も出来る。和道空手の大きな特徴は、受けてから攻めるのではない! 特に、この感覚は重要。
     
蛇足:
最近では余り抵抗は無くなってきたが、格技としての和道空手を知らない人達には、柔術から発した技法の順突きの意味が理解し難く、技法としての感覚も会得し難い所があるので、充分に稽古をしましょう。和道の動きの原点は、舗装路を大手を振って足踏み鳴らしての、堂々とした行進では無く。難儀な山道を、膝に手を触れなんばかりにして、緩やかに足音立てずに歩を進める感覚です。緩っくりとした山歩きも、良い稽古になります。師からはよく言はれました、足で歩かず身体で歩きなさい、銭湯のカランの取方にも使えますよ! と。

 

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